青き月と闇の森/サイモン・R・グリーン

青き月と闇の森〈上〉 (ハヤカワ文庫FT)

青き月と闇の森〈上〉 (ハヤカワ文庫FT)

青き月と闇の森〈下〉 (ハヤカワ文庫FT)

青き月と闇の森〈下〉 (ハヤカワ文庫FT)

1999/11/23

分類としてはユーモアファンタジー
いきなり下痢について悪態をつくフォレスト王国の第2王子ルパートと、
文句たらたらのユニコーンの会話から始まる。
国王にドラゴンを退治に行け、と二度と生きて帰ってくるなと同義の命令を与えられ、
ルパートはバカ正直にドラゴンのところへ向かう。
行って見れば、ドラゴンは「いい天気だね」と挨拶してくるし、
金銀財宝じゃなくて蝶々のコレクター。
挙句に「王女から助けてくれ」と訴えてくる。
実際に王女はむちゃくちゃ強いし、
ファンタジーのヒロインなのにユニコーンに乗る資格もない。
こういう風に始まるのだが、誰からもひどい扱いを受けて育ってきたルパートが
度重なる冒険をくぐりぬけ、
信頼のおける友人、部下(どちらも人間でないものが多い)の尊敬を得て、
成長していく様子が、健気で感動する。
他のファンタジーでは悪者のゴブリンたちが、この本では結構いい味を出していて、
最後までがんばっている。
表紙の絵がちょっと、いけてないというか、ヒロインの顔が怖いんですけどね。