グラン・ヴァカンス―廃園の天使〈1〉

ミステリは日本ものが好きだけど、SFとファンタジーは海外のものが好き。
という傾向があり、日本作家のSFはほとんど読まないんだけど、この作品には衝撃を受けた。

ゲストが来なくなったヴァーチャル世界のAIたちが、自分自身とこの世界「夏の区界」の存在を賭けて、正体不明の敵と戦う一夜の攻防が描かれている。

キャラクター造形、世界の構成、AIの在り方、どれをとっても、繊細で品がある内容になっている。
それでいて、物語が進むにつれて、残虐さとかエロティシズムとか、そういう日本の作品が得意とする部分が前に出てくる。
力技が多いアメリカSFとは(日本SF作品では、栗本薫とか平井和正しか読んだことなかったので)、明らかに違う。

借りて読まなきゃ、絶対に手にしなかっただけに、読めてよかった。

グラン・ヴァカンス―廃園の天使〈1〉 (ハヤカワ文庫JA)

グラン・ヴァカンス―廃園の天使〈1〉 (ハヤカワ文庫JA)