チグリスとユーフラテス 上下

チグリスとユーフラテス 上 (集英社文庫)

チグリスとユーフラテス 上 (集英社文庫)

チグリスとユーフラテス 下 (集英社文庫)

チグリスとユーフラテス 下 (集英社文庫)

地球からの移民が拓いた惑星ナインでは、人類が生殖能力を失ってしまった。
最後の人類ルナは、各時代の特権階級者であったコールドスリーパーを、
時代が近い順に次々と起こし始めた。

文章はわかりやすいし、「…なんだもん」「ほんっとおにっ!」と登場人物は話す。
それでも、この本の内容は重い。
「生きることって何?」「人生の目的って何?」という哲学的な内容が、さらりと書かれている。
最後の子供となってしまったルナ(74歳)が、一歩踏み出す物語であり、
惑星ナインの人類の歴史の終幕を描いた物語でもある。

上下巻に分冊されていて、下巻はアカリの章となっている。
このアカリ、夫の龍一、龍一の友人である明の、「人となり」がどうしても受け入れられなくて、
下巻に入っていきなり、読むスピードが上がった(斜め読みの傾向が出てきた)。
まっとうな人生を90年歩んだ女性が「だーっ、もうおっ、っくしょー!」
と象徴される言葉遣いをするのに慣れなくて、セリフを読み飛ばしたからか。
作中でもタダモノではないという表現はされていたんだけどねえ。

でも、読んだ後、何となく、感動的なものが残る。
お勧めできる本です。