ディガーズ

ディガーズ (遠い星からきたノーム)

ディガーズ (遠い星からきたノーム)

前作で閉鎖されるストアから出て、石切り場で住むようになったノームたち。
お天道様の下で生まれて暮してきたノーム(外物ノーム)たちと、ストアの中で代々暮してきたノーム(ストアノーム)たちとの間には、文化的摩擦が・・・
ファンタジーというより、やはり組織の有り方を考えさせられる造り。
後半になると、マスクリン(プロジェクトリーダー。他者を気持ちよく動かすのが得意)、ガーダー(旧来のシステムにおける精神的なリーダー)、アンガロ(家柄はいいが、先進的な考えを持つ次代のリーダー)たちがある目的のために旅立ったため、新たなノームに焦点が当たる。
研究だけさせてくれてたらいいのに、というメーカーに居そうなタイプのドルカス(人間でいうと50代くらい?)。
周囲からは一目置かれているけど、若者たちに苦い思いを抱きながらも積極的には前へ出てこない。
グリマはマスクリンのGFで、外者ノームだったのに、文字を知り(ストアノームでは女は学問を身につけてはならないのだ)、本から大量の知識を得て、ストアノームの世間知らずな様子にカッカしている。
周囲からは当然マスクリンと結婚すると思われているが、「アタシを家の中に閉じ込めるつもり?きーっ」って感じになっている。
頭は切れるのに、うまく人望が得られず、特に頭の固い連中とは上手くやっていけないキャリアウーマンのような感じだ。
とにかく、コミュニケーションの難しさが面白い。
「人に何かをやらせるには、本人が考え出したと思わせるに限る」という処世術が、何度も出てくる。
これは子どもだけに読ませるのはもったいない。
3巻のウィングスとは時系列が同期しているので、最後に出てくるマスクリンからグリマへのラブメッセージが、皮肉と比喩と愛情に満ちていて、やるねーっ、て感じです。