竜の貴婦人

バラードにも名前を残す、伝説の洞母モレタの実録というスタイル。
糸胞との戦いが続く中、モレタはもう一つの敵、伝染病(インフルエンザと思われる)と闘う。
大巖洞の統領であるシ−ガルとは、事実上の夫婦であるが、モレタは彼が気に入らない。
そんなとき、ルアサの青年城主アレッサンと出会う。
アレッサンは、褐色の肌と明るい緑の瞳という、ラテン系な感じ。まさにハーレクイン小説の恋人役にはうってつけの役。
30代後半のキャリアウーマンが、自らに課せられた使命(伝染病の治療薬を、竜を用いて世界中に配布する)という過酷な職務の陰で、20代前半の青年と南国で恋に落ちるという、まさにハーレクイン。
しかし、伝説になっているようにモレタは悲劇を迎える。
すでに地位と名誉と分別を備えた女性が主人公で、淡々と進行するので、今ひとつ、話に感情移入できない巻である。
この本の裏物語の「ネリルカ物語」は、またもやハーレクイン外伝なのだが、主人公ネリルカは不遇の立場なの分、応援したいのである。

画像