タフの方舟2 天の果実

 
猫と環境エンジニアリングという職業を愛するハヴィラント・タフを主役とする短編集の後半。
胚種船(バイオテクノロジーを極めた集団の過去の遺産)の遺伝子プールを用いて、タフが創り出す植物、動物がおかしい。
 
4つの短編が含まれる。
「タフ再臨」:このシリーズのヒロインでもあるトリー・ミューンの男前ぶりがが素敵。
ちなみに彼女は、タフの宇宙船を略奪しようとする惑星ス=ウスラムの首脳陣を押し切り、仁義に基づいてメンテナンスを断行してくれた宇宙港の責任者である。
「魔獣売ります」:前巻「禍つ星」の3編よりも、タフの性格の悪さが炸裂。
「わが名はモーセ」:「あこぎな商人」ぶりが最も顕著な作品。何をするにも手数料を取る取る。
「天の果実」:人口爆発が止らない惑星ス=ウスラムの食料問題には、タフの堪忍袋の緒も切れた。
トリー・ミューンは苦い決断を迫られる。
  
前後編で計7編の短編が、ストーリーを重視して並び替えられて収められている。
他の6編は素直に笑えるが、最後の「天の果実」のトリー・ミューンとタフのやりとりは、笑いを挟む余地はなく、皮肉に満ちた現実的なものだ。