影との戦い ゲド戦記Ⅰ

女性作家が書くファンタジーやSFが好きである。
その名作の多くが、1970〜80年代に書かれ、フェミニズムの影響を受けていることが多い。
その中でも最も衝撃を受けたのが「闇の左手」である。
男女の性別がない(発情期にどちらの性になるのかは本人にもわからない)惑星を訪ねた地球人男性が、その惑星人との厳寒・決死の2人旅を行い、考えるという作品だった。
すっかり、グ=ウィンはフェミニズム系ハードSF作家と思っていたら、アースシーの風(ゲド戦記5巻)の出版のときに、ドラゴンと魔法使いが出てくるようなファンタジーを書いていることを知った。
そして、ジブリの映画化でネット上で一騒動起きている現在、ようやく、読むことになりました。
 
ゴント島に生まれた少年は生まれつきの魔法使いだった。
長じてハイタカと呼ばれるようになった少年は、12歳のとき、まじない師に学んだ魔法を使ってカルガド帝国の侵略兵を追い払うが、魔法の力を使い果たしてしまう。
大魔法使いオジオンによって助けられた少年は、オジオンによって真実の名(ゲド)を教えてもらい、彼の弟子として旅立った。
 
才能を持ち傲慢になった少年が、自らが引き起こしたトラブルに対する後悔と責任の取り方、厳しく優しい教師陣の指導、何より変わらない熱い友情を得て、自分自身に向き合うという、典型的なジュブナイル
典型的といってもマンネリではなく、どちらかというと、人間が成長する上での基本を大事にしているという感じ。
物語の世界観、社会的慣習などの構築は、名人芸である。
オジオンファンがいるようであるが、思わずオジオン様と呼びたくなる気持ちがわかる。