飛翔せよ、閃光の虚空へ!

飛翔せよ、閃光の虚空(そら)へ!―スコーリア戦史 (ハヤカワ文庫SF)

飛翔せよ、閃光の虚空(そら)へ!―スコーリア戦史 (ハヤカワ文庫SF)

2003/9/28
舞台は、連合圏・スコーリア圏・ユーヴ圏の3つ巴の勢力圏となっているが、どれも地球人をルーツにもつ。
スコーリアの軍人はエンパス能力を持っており、ユーヴの貴族はエンパスを痛めつけることで快楽を感じるために、スコーリア圏とユーヴ圏は対立関係にある。
ヒロインのソズは高いエンパス能力を持つ軍人であると共に、スコーリア王の異父妹で王位継承者の筆頭でもある。
ソズが連合圏で出会ったユーヴの貴族階級の青年は、明らかにユーヴの貴族階級らしくなく、ソズの家族のように高いエンパスを持っていた。

タイトルはどうかと思うが(虚空とかいて、そら、と呼ばせるなんて趣味が悪い)、非常に科学的で、なおかつ、ダーコーヴァ年代記を思わせるエンパスやテレパスがストーリーの中心となる設定で、面白かった。
妙に詳しすぎて、最初はどうしようかと思うくらい、科学的な本だった。
戦闘機のボディはフラーレンで、ファイブスター物語のように自己修復機能を有しているのだ。
後書き読んで、著者が物理と化学の博士であることがわかって、妙なこだわりについても納得がいった。
続刊もあるので、とりあえず買いだと思った。
主役のソズも、その母親も(二人とも遺伝的に倍くらいの寿命を持つように延命化されているとはいえ)、 3度目の結婚で自分の子供より若い世代の男性を生涯の伴侶として選ぶわけだが、これは、女性の夢だろうかね。
主役のソズは女性なのだが、殺伐としていて、無味乾燥な軍人女性である。
逆にソズが愛するようになるジェイブリオルは愛らしくて、初々しくて、繊細な男性なので、そのギャップが笑える。