魔物を狩る少年/クリス・ウッディング

魔物を狩る少年 (創元推理文庫)

魔物を狩る少年 (創元推理文庫)

2006/5/21
夜のロンドンは魔界都市になる。
魔の眷属が赤ん坊を喰らい、ウィッチハンターが魔の眷属を狩り、切り裂きジャックならぬステッチ・フェイスが娼婦たちを惨殺する。
凄腕ウィッチハンターの少年サニエルは、狩りの途中、記憶を失った美少女を保護する。
彼女の背中には、警察や政界にも影響を及ぼす秘密結社「フラターナティ」の印の刺青があった。
それ以降、少女は闇の眷属に付きまとわれ、サニエルとサニエルの師匠キャサリンも、ロンドンを揺るがす大事件に巻き込まれることになる。

作中のヴィクトリア朝ロンドンは、プロイセンによる殲滅戦の後で、突如、魔物がはびこる闇の都市となっている。
そのロンドンを舞台に、赤と黒のシャープなコスチュームの女性ハンターが、薄幸の美少年を引き連れて魔物を追い、美少女が魔法を扱い、惨殺死体が飛び交うのだ。
秘密結社といい、召還される魔物といい、道具立ての雰囲気は良い。
のだが、ちょっと、主人公の少年サニエルのインパクトが不足気味。
出会った美少女アライザベルにのぼせたまま、最後まで突き進んでしまった。
サニエルたちが途中で助けを求めることになるベガーロード(乞食の元締め)のクロットと、彼のブレインである盲目の少年デビルボーイ・ジャックが強烈な印象を残すのだが、その活躍も割りとあっさり。
ついつい、ライトノベル的活躍を期待してしまう私が悪いのか。
面白かったが、個人的には、さらにもうちょっと、映画のヴァン・ヘルシングかリーグ・オブ・レジェントのようなエンターテイメント性が欲しかった。
登場する怪物が私の知らないものばかりだったのが、一番の原因だったのかも。

うっ、読む前に妖精辞典を読むことを勧めている記事が・・・
表紙のイラストにだまされて、もっとそれらしいのを期待して、裏切られるという哀れな読者が私ですね。