吟遊詩人トーマス/エレン・カシュナー

吟遊詩人トーマス (ハヤカワ文庫FT)

吟遊詩人トーマス (ハヤカワ文庫FT)

2002/12/2
美貌と詩の才能を併せ持った若き吟遊詩人トーマスは、
妖精の女王の愛人として、7年間をエルフランドで女王に仕えることになった。

トーマスを息子のように受け入れる老夫婦ゲイヴィンとメグ、トーマスの人間の恋人エルスペス、
そしてトーマスの、それぞれが一人称で語る4部構成になっている。
他の3人の章がなければ救いのないトーマスのお気楽さ、である。
貴族の娘を妊娠させて逃げだし、ようやく一人の女に落ち着くかと思えば、
妖精の女王の色香に迷ってフラフラとエルフランドに行くことになるし、
エルフランドでも女王が構ってくれないといじけ、会えれば浮かれる…
バカだろう、お前!!
しかし、このトーマス以外の人たちが面白い。
エルフランドの住人は、不実で、捕らえ所がなくて、美しい。
ミドルアースの人たちは熱く、正直で、頑固で、優しい。
読んでる間が楽しい本である。