テメレア戦記1(ナオミ・ノヴィク)

アン・マキャフリーの「パーンの竜騎士」好きにはたまりませんね。
 
時代は、皇帝ナポレオンが世界征服に向けて張り切っている頃。
空軍が保有するドラゴンが少ないために、英国はフランスに苦戦を強いられている。
英国海軍の将校ローレンスは、捕虜にしたフランス艦に乗せられていた卵のドラゴンに選ばれたことによって、海軍将校の地位もこれまでの人生計画もすべて捨て、歳が行き過ぎた新米の(ドラゴンの)飛行士として、空軍に所属することになった。

ドラゴンはパートナーに忠実な愛情を傾ける、というところは、パートナーとのみテレパシーで会話するパーンの竜騎士のドラゴンと同様。
あるいは、エラゴンとも。
でも、海軍で一定の地位についていた堅物(イギリス紳士)のローレンスが、貴重な種類のドラゴンをたまたま手に入れた状態で、自由闊達な雰囲気の空軍でがんばる姿は、少年少女が主役の前述2シリーズとは違う大人好みの味わいがある。
ドラゴンのテメレアは、ローレンスが辟易するような超難解な学術書を朗読させるのが好みというインテリジェンスと、ローレンスに示す子犬のような愛らしさと忠実さが同居していて、なぜだか、心がきゅーーーっとします。
ツボです。
テメレアがフランスとの戦いに参加すると、ドラゴンの空中戦が繰り広げられる。
ただし、ドラゴンには多くのクルーが同乗しているので、竜とその騎士、というより、飛行船とそのクルーというチームワークの戦いになっているところも、才能はあっても我慢を知らない若者がドラゴンにまたがるケースと違う。

エラゴンとテメレア戦記は、どちらも、同じデビュー作。
作者の年齢がそのまま、主人公を含む登場人物たちの精神年齢に対応しているのが、わかりやすい。
テメレア戦記のほうがじっくり読めて好みです。

テメレア戦記〈1〉気高き王家の翼

テメレア戦記〈1〉気高き王家の翼