盗まれた記憶の博物館

PCの天才少女ジェシカと、芸術の天才少年オリバーの双子は、突然、警官の訪問を受ける。
トーマス・ポロックを訪ねてきたというが覚えがない。
しかし、実は、ジェシカとオリバーの父親だという。
古代バビロニアの謎の神の像と、不思議な力を持つ博物館内のイシュタル門を手がかりに、双子は父親の記憶と行方を手繰り寄せていく。
ジェシカは現実世界で、オリバーはイシュタル門の向こうで、それぞれに年長の友人の助けを得ながら、事件の真相に近づいていく。
 
クセハーノという神は何者なのか、という謎解きが、まず、面白い。
実在の神話を組み合わせる、昨今流行の民俗学ミステリーのような面白さがある。
加えて、ジェシカと博物館の女性研究者との友情や、オリバーとガラス製の小鳥、古代ギリシャの哲人、ナポレオンの上着、というバラエティに富んだ友人たちとの友情が、2人を味わいのある人間に育てていく様子も楽しい。
この作品もまた、最後が予想通りのハッピーエンドなんだけど、ちょっとしんみりくるエピソードを残してくれる。
エンディングがうまいなぁ、この作家さん。

盗まれた記憶の博物館 (上)

盗まれた記憶の博物館 (上)

盗まれた記憶の博物館 (下)

盗まれた記憶の博物館 (下)