チャリオンの影、影の棲む城(ロイス マクマスター ビジョルド)
SF作品の多い作家ですが、ファンタジー作品しか読んだ事がない。
でも、
- スピリット・リング
- チャリオンの影
- 影の棲む城
のいずれも、面白いです。
登場する女性の気が強くて、作中の言葉によれば「鋼のように」強靭で、「剣のように」攻める女性ばかり。
「チャリオンの影」と「影の棲む城」は、五神教シリーズの2作品。
滅多にあることではないが、神々が目に見える奇跡を行なうことがあるという世界である。
父神、母神、姫神、御子神に、半神半魔の庶子神の五柱が、直接手を下す代わりに、聖者(運悪く神に選ばれてしまった人)を通じて、人間界に奇跡を行なうのである。
「チャリオンの影」の主人公カザリル(35歳男性。人生に疲れて身も心もボロボロです)は、姫神と庶子神の奇跡をその身に受けた。
そして、思い通りにならない人生と、神の気まぐれによる運命に嘆いた。
しかし、何とか運命に立ち向かおうと、仕えるイセーレ国姫を救うため、酷い状態(死人を温めなおしたような、と言われている)で奔走することになる。
「影の棲む城」の主人公イスタ(40歳の国太后。孫がいる。老いた母を看取り、ようやく第二の人生を歩もうと城から逃げ出す)には、庶子神が新たな役目を与えようと近づいてくる。
しかし、若い頃に母神の聖者となりながら見捨てられた経緯から、イスタは庶子神や他の神々に毒づく。
結局、運命により「魔」が住む国境の城に導かれ、アリーズとイルヴィンという壮年の兄弟(40歳前後)を救うことになる。
カザリルはひたすら耐え忍び、イスタはひたすら(神に)毒づく。
どちらも徹底している。
登場する人物は老いも若きも、男女問わず人間味がある。
特に、「影の棲む城」のイスタ・アリーズ・イルヴィンの皮肉の応酬(これまでの人生への恨み節がこもっているのが、他の和製ライトノベルファンタジーの美男美女とは異なる)や、イスタの母に仕えた貴婦人レディ・フウェルタルとイスタのやりとりが好きです。
もちろん庶子神(セクハラのトリックスターだ)とイスタ、イセーレとカザリルの言い合いは、イスタとイセーレの好戦的な親子が最高に魅力的です。
ローカス賞、ネビュラ賞、ヒューゴー賞を総なめにしたのも納得の影の棲む城はもちろん、チャリオンの影も非常に面白い。
SFも合わせて、次々に翻訳されそうなので、楽しみです。
とりあえず、次はSFでしょうね。
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